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「名探偵の掟」言わずと知れた直木賞受賞作家です。
作品を読んだ事はなくても、名前を知らない人はまずいないでしょう。
かくいう私も、この先生の作品はきちんと読んだことがなかったので(汗)
まずはお試し、ということで買ってみました。
こういう時って普通代表作とか買うもんだけど…(^^ゞ
ネタバレにならない程度で内容を書きますと、
(自称)名探偵と、彼に手柄をあげてもらっている警部の話。
基本は警部の語りで物語が進み、
プロローグをエピローグを除いて12編のお話が収まっています。
よくある名探偵モノ(小説やらドラマやら)でのお約束事を網羅しています。
例えば密室・隔離・見立て殺人・ダイイングメッセージ・時刻表トリック…。
あらゆるテーマを使い物語を形成していくんですが
この作品の一番おかしいところは主人公達(探偵&警部)が
小説世界とはまた違う世界観を持っていて(探偵役と警部役を演じている…てな感じ?)
「こんなの実際あるわけないだろ」とか
「密室なんて手法、もう恥ずかしいぞ…」とか、そういうのをぶっちゃけてるとこです。
警部に至っては「これは『名探偵シリーズ』だから自分が事件を解決してはいけない」とか
「その為には名探偵より先に犯人をつきとめた上で、
ズッコケ警部よろしく全然関係無い人間に疑いをかけつつ
探偵が犯人を突き止められるように上手くコントロールする」と気を遣ってます(笑)
その割に「名探偵が犯人まで行き着いた時点で教えてくれればこちらも動けるのに
それだと盛り上がらないからいくつか事件が起きるまで待たないといけない」
とか平気で思ってたりしてます。
被害者からしたらいい迷惑ですよね!(汗)
結構面白い視点で書かれている作品です。実際面白く読ませてもらいました。
…が、何度も読み返すような本ではないな…(^^ゞ
本格ミステリ好きにはキツいかもしれません。
かなりお遊び的な内容ですが、
お話の端々に作者のミステリに対する真剣な気持ちが見えている気がして
それがこの作品を単なるパロディという位置からずらしていて、
かなり救いになってます(^_^;)
読んでいくと「こういうネタもあるよな」って思うようなネタは大抵入ってます。
…が、たとえこういう作品でも見たくない展開とかはやっぱりありますよね…(^^ゞ
出来自体はいいと思います。多分作者もそういうつもりでネタにしてるんだと思います。
この作品は、世の中に蔓延しているミステリもののネタとその読者を批判というか…
チクチク針を刺してるような雰囲気があります(笑)
とても読みやすかったので、
今度はもうちょっと真面目な(?)ミステリを呼んでみようと思います!
そういう意味でいえば「お試し」でこの本を買ったのは大正解、ということに…。
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「死刑はこうして執行される」買った本なんですが、本が行方不明になっちゃって読み返せません(笑)まあいいか(^_^;)
これはまあ…そのまんまの話で、ノンフィクションものです。
実際に起こった事件を題材にして(?)
犯人がつかまってから死刑判決を受けるまでの流れ、そして執行までの道筋や
執行に係わる拘置所や刑務官のドキュメンタリーみたいなものですか。
日本全国で話題になったあの事件やその事件の話も載ってます。
私は死刑制度に反対とか賛成とかそういうのがないんですが
(難しい問題だから簡単にどっち、なんていえないし…)
こういうのを読むと簡単に死刑とか言っちゃいけないんだよな…って思います。
こういう本を買ってまでとことん考えて結果的に鬱になるんですが
そういう自分が鬱陶しいと思いつつあんまり嫌いじゃなかったりします(^^ゞ
「死刑制度反対」とか「賛成」とかって
死刑になりそうな重罪犯罪者が出てくる度によく論議されますよね。
(そして何の進展も無いままうやむやに終わる)
被害者の周りの方々からすれば「死刑にしても足りない」ってお気持ちなのでしょう。
それだけ重大な事をしでかしてるんだから当然かと私も思います。
でもこういう本を読むと、ちょっと考えが複雑にならざるをえません。
だって、実際に死刑を執行(&後片付け)をするのは刑務官であって、
ご遺族の方々は執行される前に知らされる事はないし立ち会うことはないし
そのあとどうなるのかも知らされない。
刑務官は(たとえ重大な事件を起こした犯罪者であっても)
命令されたらその人間を殺さないといけないわけで、
しかも執行後の後片付けもしなければいけないのだから
相当嫌な仕事であるのは想像に難くありません。
仕事なんだから仕方ない、なんて簡単には言えないと思います。
そういう領域を超えちゃってるような…。
(そもそも刑務官の仕事内容に「(たまに)死刑執行」なんて明記されてないのでは?)
本来は犯罪者の更生に心血を注いでいる刑務官が
仕事とはいえ死刑執行(=法的に認められた強制殺人)を行って、
そのあと正常な生活を送れるわけがない。
それをしろ、というのが「死刑制度賛成」なのかな…と思うようになりました。
加害者に目を向けて考えれば「死刑は仕方ない」とも思えるんですが
それを望むのは被害者に近い方々または世論や検察、
それを決めるのは裁判官、GOサインを出すのは法務大臣、
それを実際に執行&後始末をするのは刑務官。
「死刑」が決まってもGOサインを出されないと執行されません。
そのGOサインでさえ、大臣さんは先延ばしにしまくってるわけですよ。
なんでかって、嫌だからですよね。
自分が「GOサイン」を出したから死刑が執行されたっていうのが。
だからみんな、任期が終了する時にサインするという状態になるわけで。
サインをするのさえ嫌なのに執行する人が嫌じゃないわけがないよな~って。
希望者に限り、
被害者の身内に直接加害者を執行させたらいいのでは?という考え方は
あまりにも残忍かもしれませんが、
本人が望むのであればそれもアリなのかな、とは思います。
そのあととっても辛い人生になりそうなのですが…。
(被害者もそんなの望んでないでしょうしね…)
刑務官が執行するのは、被害者の方が直接執行するよりキツいんじゃないかと思います。
そういう意味で言えば、私は死刑反対なのかもです。
…すいません、何年かに一度こういうの読んじゃうのです(^^ゞ
このあと
「13階段」「長い長い殺人」の感想ですが、
長くなったので記事をわけます。
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